Blog
2020/04/07 00:00
『革の黒ダイヤ』と呼ばれる小さなダイヤの粒を散りばめたような美しさ。 日本古来の伝統技法である 『なめしの技術』と『漆塗りの技術』を融合させたのが 1923年創業、姫路タンナー“坂本商店”の誇る、姫路黒桟革(くろざんかく)。 姫路白革なめしに漆塗りを施した革。 漆は自然界最強の天然塗料と呼ばれ 摩擦に強く、道具の実用性を高め その希少性や美しさから 黄金と並ぶ、権力を象徴する美として 日本人の生活に存在し続けていた。 現在では剣道の胴胸などの武道具に使われ、 戦国時代には、 大将クラスの甲冑に使われていたと言われる代物です。 以前紹介しました 姫路白なめし革とは異なり、国産黒毛和牛がベース 食肉加工過程の副産物として、余すことなく動物の皮を利用。 下地革をつくるところからはじめ 革と漆の相性、鞣しと漆塗り、それぞれの特性と物性を知り尽くし作製される 理想の漆革、黒桟革。 黒桟革の歴史的背景と 日本独自、独特な素材イメージから “THE 日本の革” とコンセプトし、姫路から世界へ発信。 2014年 香港APLFアワードMM&T展(素材展)にて日本人初のベストニューレザー部門グランプリを受賞 2016年 パリの国際的なファッション見本市「プルミエール・ヴィジョン」が主催するPVアワードで日本企業として初めてレザー部門で「ハンドル賞」を受賞 以降、海外ファッションウィークでの黒桟革を用いたブランド展示などなど 日本よりも 海外で先に評価を得ているような印象すら受ける。 漆器という言葉が代表的 漆と言えば、お椀を想像される方も多いだろう。 伝統的な行事で目にしたり、僕たちは何かしら無意識に漆に関わっている。 感覚的、視覚的な視点より語られることが多いが そもそも 漆とは、一般的に漆の木の樹液を指す天然の塗料のことであり 木材や陶器と言ったベースに漆を塗ったものが漆器となる訳です。 その実、 漆の木は中国からきている説のある外来種の木。 *もともと日本に存在した説もあります とは言っても 最古の漆を塗ったものとしては 縄文時代のものが見つかっており、9000年前から日本に存在するのだとか。 日本大陸の環境下では在来種と比べて弱い存在である外来種は 保護、管理しなければ生息することはできず 9000年前よりも、またはそれ以前よりも 日本人は管理、必要としてきた、ことになる。 芸術性の高いもの というよりも そもそもの用途として 塗料や接着剤など様々な用途で使われ その丈夫さから自然界最強の天然塗料とも言われている。 実際に 縄文時代のものでも、矢の先を漆で接着した実用的なものであったり 漆で破損箇所を接着した器が見つかっているそうだ。 ある時代には 世界に漆=Japanと言わしめた芸術性はあったが 今では原材料のほとんどが海外。 世の流れとは いつの間にか、あっという間に変わっていくものだ、と 改めて、思う。 *こちらは藍染工程。手間と時間を要するのだが、まだ下地。ここから漆塗りへ 姫路タンナー“坂本商店” 現在では3代目 一家相伝の漆の技術を先代より受け継ぎ、世界へ発信した御方。 誰もが知る某ブランドから フランスの革で漆を〜などもバシッとNoと言ったそうで。 お話を伺っていると ものづくりの楽しさ、ロマンを感じることができて たびたび サスティナブル(持続可能な)、エコなどのワードも出てきた。 姫路から世界へ 言葉では簡単に言えるが、簡単ではないことは自明の理。 常に「現代」での試行錯誤の創作を続けられている姿勢が素晴らしく 思います。 >> ここ姫路市には、タンナーが集まっている一画、地区が存在する。 川沿いにあって タイコといって革を回す木製の機械をよく見かける。 (稼働している、していないはおいといて) 昔ながらの革生産地として存在している。 だけれども 少々過去、のような 名残りに近いところもある。 あくまで個人的にそう思っただけですが。 いいものをつくる それは当たり前で 単なる素材のハナシかもしれない。 手元にあるものが 何百年、何千年、何万年の歴史を感じられ 起源を識るような奥行きがある それがまた、伝統を守ると言ってはおこがましい話なのですが 自国の伝統を受け継ぐ、ような感覚を持てるのは 大変にじわじわくる 素敵なことだと思います。 そんな坂本商店さんとの出会いにて。 ※先行リリース!
※先行販売価格 画像ではきっと伝わっていない表面の輝き。 不意に眺めるとキラキラしていて 『革の黒ダイヤ』って表現がわかる気がする。 いつの時代でも 身分を問わず誰もが憧れ、つくる人みる人の美意識を駆り立て 世代を超えて使い込まれた漆。 漆塗りと革の鞣し、漆と革 ぜひご堪能ください。 坂本商店特注 補色ケアクリーム(各色) 所作黒桟革をお使いの上、お困りの際はご相談ください。 長年の使用にも安心ですね。 *実際に黒桟革が用いられた甲冑。随所に用いられているのがわかりますね No,No,Yes!直営店舗にてご覧いただけます。 それでは、また。 nakabayashi藍染のご紹介へ